タマケン・ガイドツアー「多摩めぐり30」全市町村訪ね終えて ガイドした合格者たちの体験㊦

恨めしい“検定”の二文字、いまや楽しさに
コース情報案内して体力差カバーに生かす
     相山 誉夫さん(武蔵野市)

東京で暮らすようになって今年で33年になる。定年が間近になった頃、ふと我が身を振り返った。東京に住んではいるが、23区の位置関係が曖昧で、自分が生活拠点にしている多摩地域についても市町村の数や存在場所、ましてや特徴など殆ど知らないことに気がついた。
そんなある日、9年前のことだ。吉祥寺の某書店の前を通りかかったとき、店先に緑色の表紙の書籍が5~6冊重ねて置いてあるのが目に入った。その表紙には「タマケン 知のミュージアム 多摩・武蔵野検定公式テキスト」とあった。“検定”という文字に一瞬、戸惑いを感じたが、多摩を知る手がかりとしては好都合かな、と思い買い求めた。これが私と「タマケン」との出会いとなった。
テキストを読んでいるうちに多摩の歴史や文化を知る面白さに魅了され、いつしか“検定”の文字が気にならなくなった。その年の秋に行われた3級試験を皮切りに2級、1級と受検した。しかし、1級の合格証書は、届かなかった。‟検定”という恨めしい二文字を思い出し、出題された問題を呪っているうちに、2011年に「多摩めぐり30」が始まった。元来、アウトドアが好きな方なので、つとめて参加していたところ、「タマケン」をサポートする「タマケン・サポーターズ」が設立されメンバーに加わった。メンバーになって、改めてタマケンの活動内容が多様であることを知った。合わせてこれらの業務を少人数のタマケン事務局で進めていることに驚いた(今も変わらず多忙ですね)。


相山さん


石灰岩層の断層が露出した大岩が覆いかぶさる白髭神社(奥多摩町)で記念撮影

「多摩めぐり30」で市町村を訪問するに当たり、予め企画、立案、下見、ガイド用冊子の作成が行われる。対象となった市町村の歴史、文化、産業などの特徴について、資料などを入手して調べ、下見で調整と確認が行われる。ガイド用冊子が届くと、いつも先輩ガイドの皆さんの綿密な調査と説明、解説に感嘆する。「知のミュージアム」にふさわしい知的財産が蓄積されて行くのを実感する(一方で試験が難しくなるのではという懸念も?)。
「多摩めぐり30」開催当日、他の参加者の皆さんと一緒に歩いていて、目的とする建物などに到着したときに「ここがそうですか!」と感激の声が上がる。同時にホッとした明るい気分になる。下見のとき、雨に降られて神社の軒下で雨宿りをしながら侘しく昼食を摂ったことも忘れてしまう。
多人数で歩くと、歩き方に個人差が生じて遅れる人がある。かつて大勢のメンバーで山歩きをしていた際に、遅れる者が出て、2つのグループに分かれてしまった。遅れたグループは、さらにルートを間違えたため、合流するまでに時間的ロスが生じ、不安も増した。遅れた仲間の一人は、急いだために転び、膝に傷を負っていた。歩き方に差があるのは致し方がないことです。予めコースの難易度を知らせるとともに、サポートする側は歩き方を含めて、余裕を持ったスケジュールを組む必要があると思う。転んだときに手を使いやすくするために手荷物を持たない方がよい。ストック(杖)があるなら使用した方がよい。坂道でストックを利用すると、安全で楽です。夏に向かって水分補給が必要で、特に高齢になると、前もっての補給が重要です(私のことか?)。
「多摩めぐり30」では事務局をはじめ、サポーターズの仲間、そして、他の参加者の皆さんとともに楽しく参加しています。「多摩めぐり30」に引き継いで行われる「多摩めぐり30プラス」では、どのような「多摩」に巡り合えるのか、楽しみです。

直に触った青梅縞、イワタバコの花も初見
故郷である「多摩丘陵」の息吹を伝えたい
     宮崎 雅文さん(板橋区)

「多摩めぐり30」に積極的に参加するようになったのは2013年頃から。15年からは、少しずつツアーのお手伝いをしています。今年5月、奥多摩町の回で多摩・武蔵野地域の30市町村全てをめぐり終えて大変感慨深いものがあります。
13年秋に訪れた青梅市の回は、特に印象に残っています。青梅縞を作っている工場に入ったのは初めての体験でした。実際に生地を見るだけでなく、直に触らせていただき、その光沢となめらかさに驚きました。工場には大学を卒業したばかりなのでは、と思うくらいの若い世代の職人さんが何人もいて、長い歴史がある織物が現代的な感覚によって新しい姿を見せ始めているように思えて頼もしくなりました。


宮崎さん

15年には二度、高尾山に登る機会に恵まれました。個人的に毎年1月に薬王院に参拝していますが、高尾山の植物の多様性について、知識として知ってはいたものの、個人的に観賞してみたいと思うほど強い興味がありませんでした。「多摩めぐり30」に参加していなければ、イワタバコという植物を知らずに過ごしていたかもしれません。
今年3月から「多摩めぐり30」に続く新しい企画として「多摩めぐり30プラス」がスタートしました。テーマは「多摩丘陵」です。3歳から約10年間を稲城市平尾で、その後の約19年間を八王子市寺田町で過ごした私にとって、多摩丘陵は故郷も同然です。10代の頃、自転車で駆け回った地域を皆さんに案内できることに大きな喜びを感じております。多摩丘陵の周辺に暮らしてきた人たちの生活の一端が伝わるガイドをこれからも心がけていきたいと思います。
添付した写真は、昨年(2016年)見学した東京都無形民俗文化財の「蛇より行事」(稲城市百村)を撮影したものです。夏の炎天下、地元の方々が力強く萱を大蛇の形に撚り上げる姿に圧倒されました。「多摩めぐり30プラス」の中で、このような行事も取り上げられるように今後も努めていきたいと思っております。


イワタバコ


奉納された「蛇」


掛け声をかけながら生かわきの萱を撚り上げて汗びっしょり