タマケン・ガイドツアー「多摩めぐり30」全市町村訪ね終えて ガイドした合格者たちの体験㊥

静謐求めた檜原村の神事  生活体験聞いて地元を知る
     味藤 圭司さん(武蔵野市)

民俗学者宮本常一は「その土地を知るにはできるだけ歩いてみることだ」と言っています。「多摩めぐり30」は、まさに「その土地を歩く」といった基本に従って、多摩の全市町村を歩き回り、地理、歴史、文化、産業など何でも貪欲に知ろうという企画の下に運営されています。
しかし、この企画の大きな特徴は、単にあちらこちらを歩いてモノを見て回るだけではないという点にあるのです。


小平市内をめぐった時に地元ラジオ局のインタビューを受ける味藤さん


山が迫る春日神社境内で檜原村の人たちに「御餇神事」について聞いた

それは何かと言えば、「多摩めぐり30」では、時に土地の人からその土地に関する話を語っていただくコーナーを設けていることです。モノを見ることだけに留まらず、今もそのモノに関わりを持つ人々から直接話を聴き、さらにはガイドブックなどには書かれていない現地の人ならではのとても興味深い情報を得ることによって、各地で開催されている一般の「まち歩き」とは一味違ったものになっています。
私自身、「多摩めぐり30」の最初の頃は物見遊山的な気分で各地を歩いていたのですが、各地で地元の人々の話を聞いているうちに、その地で生活しているあるいは生活していた人々の「思い」を感じ取ることも地域を知る一つの大切なプロセスであることに気づきました。この部分がないとその土地の過去も現在も本当に知ったことにはならないのではないかとの確信を得ました。
檜原村春日神社で神社総代から伺った「御餇(おとう)神事」の話についても、米を作ることのできない山間地域の人々の白米に対する強い思いを感動を以て聞くことになりました。年に一度だけ、村人が一堂に会し、神前で白米を食べる、それも村の代表者が斎戒沐浴して、村の命の源といえる秋川の水を汲み上げて炊き上げた白米を食べるという意味の深さは、飽食の時代に過ごしている私の意識から消えていったものを呼び覚ましてくれました。周囲の山々を見上げ、清冽な秋川の流れを見下ろし、巨大な神木の下で聞いたというシチュエーションもあってビリビリと心に響く御餇神事の話でした。
「多摩めぐり30」で訪問できなかった未踏の多摩はまだまだあります。ということは、地域を、人々を知る愉しみが多摩の各地に多く残っているということです。続編となる「多摩めぐり30プラス」の企画にも引き続き期待し、多摩を歩き続けたいと思います。

 

遊び場は武蔵武士の館跡だった  阿保道堪と多摩市の関係も知る
     関根 充さん(八王子市)

「多摩めぐり30」では、知る喜びを数多く体感しました。他のガイドの説明に耳を傾け、また、私が担当する場の資料作りが大変面白く、さらに調べることで新しい知識を得ることが出来ました。
タマケンで活動して感動したひとつに自分のふるさとを再発見したことです。「多摩めぐり30」で武蔵七党、武蔵武士について何度も聴き入ったものです。私がハッと気付いたのは、生まれ育ったふるさとの歴史の深さでした。

関根さん


緑陰に映える高尾山のふもと

私のふるさとは、埼玉県児玉郡神川町大字元阿保(もとあぼ)。最寄り駅はJR八高線丹荘(たんしょう)駅です。実家の北側を鎌倉街道上ノ道が通ります。直線で約100メートルの近さにあり、幼少のころ、良く遊んだ道でした。元阿保には阿保神社があり、この境内でも三角ベースの野球をしていました。戦後のベビーブームの時代、各家には子供が数多く、野球の試合をするのに人数集めに苦なしでした。
この神社の由緒について、タマケンの活動を通じてわかり、驚きを隠せませんでした。ここは28代宣化(せんか)天皇(即位535年)の流れを汲む武蔵七党のひとつ丹党の豪族、阿保氏代々の館跡でした。阿保氏がいたことから元阿保の地名になり、今に至っています。阿保氏について調べれば調べるほど、勇猛な武将であったことを知り、へェ~! そうなのかぁ! そういうことがあったのか! と感嘆符のオンパレード。
阿保氏一族は、平家追討、平泉の藤原泰衡征伐、承久の乱などの活躍が語り継がれており、鎌倉時代から室町時代、戦国時代へと活躍した武将です。丹荘駅の駅名の由来は、丹党が治めていた地だから名付けられています。
阿保氏一族の阿保道堪(何代目か不明)が活躍したことを記した碑が多摩市にあることを知り、私のふるさとと多摩が繋がり、不思議な思いと共に嬉しさが込み上げてきたものです。
振り返ってみれば、60代も半ばになって、ふるさとの歴史を初めて知ったことから次から次へとインプットされた反面、今まで何をしていたのかと恥ずかしい思も込み上げてきます。
今後もタマケン活動に携わってひとつでも多くの感動を得たいと思っています。嬉しいことはタマケンサポーターズのメンバー、タマケン・ガイドツアー参加者の皆さんと「輪=和」ができ、回を重ねる毎にその関係が太くなっていることです。